会長挨拶

開催にあたりご挨拶

各位

平素は格別のご配慮を賜り、誠にありがとうございます。この度、歴史ある「日本臨床運動療法学会」を、2025年9月13日(土)、14日(日)の二日間にわたり、本学にて開催させていただく運びとなりました。

様々な科学技術の進歩、AI等のデータ処理能力の向上をうけ、医学の世界は大きな転換期にあります。私が専門とする糖尿病に関しても、遺伝因子の解析が進み、数多くの疾患感受性遺伝子が解明され、遺伝要因に関する様々な知識が解明されつつあります。さらに、インクレチン関連薬の発展は、今後の代謝血管障害の治療・予防に大きなインパクトをもたらすのは間違いありません。

その一方で、運動療法に関してはさらにその重要性が高まってきていると考えられます。例えば、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、心血管疾患、腎疾患に対する運動療法の在り方が近年で議論されてきましたが、高齢化社会がアジア諸国をはじめ、全世界に広がることが予測されており、その社会的課題に対する運動の在り方が世界で注目されています。さらに、高齢化が進むことにより、がん患者やがんサバイバーが増え、新たな運動療法の視点も増えてきました。また、近年の日本では女性の痩せ問題がクローズアップされてきています。その背景として、少食とともに身体活動低下も指摘されており、抗肥満薬の目的外使用も新たな社会課題になりつつあります。

このような中、「運動療法」という観点から、その意義について多面的に討論する場を提供したいと思います。現在、高齢化社会で問題となるフレイル、サルコペニア、認知症の予防に対する、スポーツをはじめとする身体活動の活性化の有用性に関するエビデンスが集約されつつあり、高齢化社会における運動療法の役割は大きいと考えられます。

そこで、第44回日本臨床運動療法学会学術集会では、″全世代における健康増進を目指した運動療法の役割″をテーマとして開催したいと思います。

当学会の運営につきましては、簡素且つ内容の充実を旨としております。しかしながら、実情は、参加者からの会費だけではまかないきれず、各方面からのご援助に頼らざるを得ません。諸費ご多端の折、誠に恐縮に存じますが、本学術集会を豊かな実りあるものにするため、格別のご援助、ご協力を賜ります様、何卒、宜しくお願い申し上げます。

末筆ながら、皆様の一層のご発展を祈念いたしております。

謹白

第44回 日本臨床運動療法学会学術集会
会長 田村 好史

  • 順天堂大学大学院 スポーツ医学・スポートロジー/代謝内分泌内科学
  • 順天堂大学国際教養学部 グローバルヘルスサービス領域 教授